電視観望 に必要な機材

こんにちは!今回のエンサイ・カフェでは、最近始めた「電視観望」に使用している機材を紹介します。これから天体観測を始めてみたい、という方の参考になれば嬉しいです。

電視観望に必要な機材

上の写真は、私が電視観望に使っている機材一式です。
これから天体観測や電視観望を初めてみたいという方のために、必ず必要になるものと、あったら便利なものに分けてご紹介します。


必ず必要なもの>

望遠鏡

望遠鏡の種類には、屈折式と反射式があります。どちらでも電視観望は可能ですが、反射式の方がコスパが良いのでおすすめです。

望遠鏡を選ぶ時の基準の一つはF値です。F値は焦点距離を有効径で割ったもので、この値が小さいほど明るい像を得ることができます。電視観望では、F値が大きくない方が使いやすいです。F5以下を目安にするのが良いかと思います。

私が使っている望遠鏡は、DX130AZです。
有効径が130mmと大きく、集光力は肉眼の約345倍です。焦点距離は650mmで、F5になります。

架台と三脚

架台(かだい)は、望遠鏡を載せる部分です。横と縦に動く「経緯台」と呼ばれるタイプと、軸が斜めに傾いた「赤道儀」というものがあります。

経緯台は安価、軽量で、セッティングが不要な点がメリットです。赤道儀は、一度セッティングしてしまえば、星を同じ視点で追えるのですが、そのためにはしっかりと回転軸を北極星の向きに合わせる必要があり、一気にハードルが上がります。

私の使っている望遠鏡のDX130AZを初め、多くの市販望遠鏡には経緯台が付属するので、まずはそれをそのまま使うのが良いかなと思います。より便利に使いたい場合は、赤道儀にするよりも、後から紹介する自動導入の経緯台がおすすめです。

CMOSカメラ

CMOSカメラは、センサーサイズ、冷却/非冷却などの選択肢があります。

センサーサイズは、大きいほど高価になりますが、広い範囲を画角に納めることができるようになります。ちょうど私の望遠鏡(F5)とCMOSカメラ(1/1.2インチ)の組み合わせで、月やオリオン大星雲が画面いっぱいに写ります。もっと大きな星雲や銀河全体を収めたい場合はさらに大きなセンサーが必要になりますし、逆に惑星などの小さな星を撮りたい場合は、より小さなセンサーの方が合っています。


冷却機能は、付属しているカメラの方が、よりノイズの少ない画像を得られますが、一方でカメラを冷やすために電源が必要になります。価格も高いので、まずは非冷却で初めてみるのが個人的にはおすすめです。

また、CMOSカメラの中にはモノクロ(白黒)しか写せないものもあります。こちらは上級者向けなので、初心者はカラーカメラを選ぶのが良いと思います。


私は、ASI482MCという1/1.2インチ、非冷却のカメラを使っています。ただ、購入後に知ったのですが、このカメラはノイズの挙動が不安定で、界隈では忌避されているようです。実際、画面上下のノイズ(アンプグロー)が大きく、時々刻々とノイズ挙動が変わってしまいます。

ASI482MC

電視観望用途では、ASI385MC(4.5万円), ASI294MC(10万円)などが代表的な選択肢となっているようです。

ノートパソコン

電視観望のソフトを使う必要があるので、あまり古すぎないノートパソコン(USB 3.0対応、メモリ8GB以上)が必要になります。星を眺めるので、発色の綺麗なディスプレイだとさらに良いと思います。WindowsでもMacでもOKです。私はMacbook Air (M1 2020)をメインで使っています。

電視観望用のソフトは、ASI Studio (ASI Live) とSharpCapが有名です。SharpCapはMac版がなく、Windowsでしか使えません。SharpCapの方が色々と細かい設定をすることができるようですが、手軽に楽しむ分にはASI Studioでも十分だと思います。

スマートフォン

星を探すためには、スマホに星を探すアプリを入れておくと便利です。内臓のジャイロセンサと連動して、スマホを向けた方向の星がすぐにわかるようなアプリもあります。
Star Walk 2など)


<あると便利なもの>

自動導入の経緯台または赤道儀

実際に望遠鏡に付属する経緯台を使って星を見ていると、日周運動で星がすぐに画角から外れていってしまい、その度に手動で星を追いかけるのは案外大変です。

そこで、スマホに繋いで自動で星を追いかけてくれる経緯台があると便利です。「AZ-GTi」という経緯台が非常に便利で、天体ファンの間で広く使われているようです。星を自動追尾するだけでなく、スマホで見たい天体を選んだら、自動で望遠鏡の向きを合わせてくれます。

AZ-GTi 三脚付き

フィルター

街灯の多い都市部で星を見る場合、暗い星はどうしても人口光に埋もれてしまいます。カメラの前に人工光をカットするフィルタを取り付けることで、星からの光だけを取り込むことができます。多くのバリエーションがあり、価格も様々ですが、天体の発する主要4輝線(Hα,Hβ,OIII,SII)付近の波長域以外をカットする、QBP(クワッドバンドパス)フィルタなどが人気です。

懐中電灯

暗闇の中、望遠鏡のセッティングをするために、明かりがあると便利です。スマホのライトでも良いですが、白色の光は目に焼き付いてしまい、目が暗闇に慣れる(暗順応)のを妨げてしまいます。そこで、赤いセロファンなどを貼り付けた、懐中電灯があると便利です。人間の目には、明るい環境で色を認識する細胞(錐体細胞・すいたいさいぼう)と、暗い環境で光を認識する細胞(桿体細胞・かんたい細胞)がありますが、桿体細胞は赤い光に反応しにくいため、赤いライトであれば目の感度を変えずに済むというのが理由です。

100均のライトに、切り抜いた赤シートを貼り付け

折りたたみ作業机、折り畳み椅子

ノートパソコンを置く場所があると便利です。また長時間の観測を行う場合はずっと立ちっぱなしだと疲れてしまいます。机と椅子があれば、水筒とコップを持参して、パソコンの画面で星を見ながら、ゆったりコーヒーを飲むこともできます。

電視観望のようす

以上の準備ができたら、あとは月の出ていない晴れた夜を待つだけです。ぜひ、目では見えない色鮮やかな宇宙を楽しんでみてください。

今回のエンサイ・カフェはここまで。

また次回もお楽しみに!


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