「無限ひっぱり箱」を作ってみた

こんにちは。エンサイ・カフェへようこそ。

今回は幼児用おもちゃの工作記事です。1歳の娘が最近、ティッシュをひたすら引っ張り出すブームに突入しました。そこで、一工夫したひっぱりおもちゃを考えてみました。

その名も、「無限ひっぱり箱」です。

外観:木製フィラメントで自然な仕上がり

コンセプト

紐をひっぱり出すおもちゃは、100均で材料を揃えて簡単に自作できます。結んだ布をボックスに入れて、引き出せるようにしたシンプルなものです。

ただ、これだと毎回布を手で詰め直さないといけません。これが地味に面倒です。

そこで考えたコンセプトが、「引き出した布を、内部で自動的に巻き戻す機構」を内蔵すること。つまり、子どもが引っ張る → モーターがゆっくり巻き取る → 永遠に布をひっぱれる、という仕組みです。


構成

  1. ひっぱり出し口(花型の穴があるフロントパネル兼センサレバー)
  2. 巻き取り機構モジュール(ドラム、ラチェット、モーター)
  3. 回路部(モータードライバ、電池ボックス、マイクロスイッチ)
引き出し口と回路ボックス
ラチェット機構とフタ構造

設計上の工夫①:花型の引き出し口

最初、引き出し口は単純な丸穴にしようと思っていました。が、これだと布が一気に抜ける/詰まるの両極端になりがちです。

そこで採用したのが花型のスリット。中央に小さな丸穴、その周囲に花びら状の切り欠きをつけることで、布が抜けすぎない適度な摩擦を生んでいます。デザイン的な可愛さも出ました。


設計上の工夫②:ドラムの形状

巻き取りドラムは、ただの円筒ではなく鼓(つづみ)型にしました。布が中央に集まるように自然に整列する効果を狙ったものですが、狙い通り布が端に寄って、絡まりを防げています。

断面ビュー。中央のドラムが鼓型になっており、布が中心に寄せられる設計。

3Dプリント製ラチェット機構

今回、新しい試みとして、3Dプリンタだけでラチェット機構を作ってみました。

モーターで巻き取るだけだと、子どもが引っ張る力 とモーターのトルクの綱引きになります。

モーターをドラムに直結すると、子どもが強く引っ張った時に、減速ギヤが逆回転して壊れる可能性があります。

また、モーターが弱くても、リボンが絡まった時に子どもの首を絞めてしまうリスクがあるので、張力がかかった時にはモーターと切り離される機構が必要と考えました。

そこで、

  • 引っ張る方向:ドラムが自由回転(モーターは空転)
  • 巻き取り方向:モーターがドラムを駆動

という、いわゆるワンウェイクラッチ/ラチェット機構を搭載することにしました。

3Dプリンタで作るメリットとしては、アームの太さを変えていろんなバネ強度を試せることです。また、アーム部分をライターで炙って曲げることで、自然長の微調整ができます。。一方、デメリットとしては、金属ではないので摩耗やクリープといった劣化が早いことが挙げられます。

作ってから2ヶ月ほど遊び尽くされたあとは、ラチェットがゆるゆるになってきました。分解して交換すれば良いのですが、面倒なので、やはり何千回も動くバネ部品は金属を採用するのが無難という月並みな教訓を得ました。笑


回路

回路は、マイコンを使わずに最低限の機能に絞っています。

  • 単三電池×2(3V)
  • DCモータードライバ
  • ギヤボックス付きDCモーター
  • マイクロスイッチ(蓋に取り付け)

最初はArduino Nanoでタイマー制御して…と考えていたのですが、今回必要な制御は「布が出ている間は巻き取る/全部巻き取ったら止まる」だけで十分だったので、マイコンは使いませんでした。

代わりに採用したのが、蓋に仕込んだマイクロスイッチによる機械式オートオフ。仕組みはシンプルで、

  1. 子どもが布を引き出す → ラチェット空転 → モーターは関係なく回転
  2. 子どもが手を離したら、モーターがドラムをゆっくり巻き取り続ける
  3. 布が完全に巻き取られると、布の端の結び目がフタに引っかかり、フタが内部のマイクロスイッチを押す
  4. 回路が遮断され、モーター停止=電池消費0

待機電流ゼロなので、電池が長持ちします。マイコン制御だとスリープでも数十μA流れますが、これは物理的に切断されているので完全に0。

なんとなく、一昔前に流行っていた、Useless Boxを彷彿とさせます。


完成、そして実戦投入

横フタを開けた状態で動作させている様子
お風呂上がりに遊んでいるところ。
背景が散らかっていてすみません。。

先述の通り、クラッチがゆるゆるになるくらいまで遊び倒してくれました!^ ^


おわりに

今年も、引き続きいろんなおもちゃ作りにチャレンジしていこうと思います。


エンサイ・カフェでは、技術と日常のあいだにある工夫を不定期で書いています。